【チキソトロピー】はちみつとマヨネーズはどちらが柔らかい?【化粧品】
こんにちは!元化粧品会社研究員のしじみ(@shijimiol)です!
突然ですが、はちみつとマヨネーズはどちらが柔らかいですか?
2つの検証方法
以下の2つの検証を想像してください。
検証①
はちみつとマヨネーズをそれぞれ違うパンケーキの上に乗せます。
はちみつはどんどん広がっていき、マヨネーズはそのまま広がらないですよね。
(はちみつの方が柔らかい?と感じますよね)
検証②
はちみつとマヨネーズがが入った瓶に棒をさし、かき混ぜます。
どちらが柔らかいですか?(マヨネーズの方が柔らかいですよね?)
以上を踏まえてどちらが柔らかいと思いますか???
・・・え、どっちだろう?ってなりませんか?
チキソトロピーとは
一般的には、粘度が低い液体は柔らかいと感じます。
しかし、はちみつとマヨネーズが比較方法によって柔らかさの感じ方が違うように、単純に粘度だけではありません。
これには液体のある特徴が関係しているのです。
それは「チキソトロピー」です。
チキソトロピーとは
つまり、チキソトロピーとは流体の性質の一つで、かき混ぜたり、力を加えると粘度が下がる性質です。
マヨネーズは力を加えていないとダラーンと広がっていきにくいですが、かき混ぜるとまるで液体のように柔らかく感じます。
この性質こそがチキソトロピーなのです。
チキソトロピーと化粧品
このチキソトロピー、化粧品においてとても重要な性質なのです!
例えば、保湿クリームを想像してください。
ジャー容器に入ったクリーム容器はある程度形を保っていますよね?
もし液体のような状態だったらすぐに容器からこぼれてしまったり、手で取ろうと思ったときにうまくすくえませんよね?
クリームは何もしていない状態のときはある程度の硬さを持っていなければ不便です。
しかし顔に塗り広げる時には液体のような軽やかな伸びが必要です。
そして塗り終わった後には肌にとどまってほしいですよね?
つまり、塗り広げる=力を加えた時に粘度が下がる必要があるのです。
そこでチキソトロピー性を持たせる必要があるのです。
チキソトロピー性を持たせる効果のある原料としては、ベントナイト、カルボキシビニルポリマー、糖脂肪酸エステルなどがあります。
日常の中にあるチキソトロピー
チキソトロピーという性質は化粧品以外にも利用されている技術です。
ペンキ
ペンキを壁に塗るとき、ペンキの粘度が高いと伸びが悪かったりムラになったりします。
そして塗り終わった後は、粘度が低すぎるとペンキが垂れてしまいます。
力を加えた時(塗るとき)だけ、粘度が下がる必要があるのです。
ボールペンのインク
芯の中にあるインクはある程度のかたさを保っていないと流れ出てしまいます。
しかし、ペン先のボールが回転と同時に一定の量のインクが出ないとなめらかに書けません。
これも力を加えた時(書くとき)だけ、粘度が下がる必要があるのです。
ダイラタンシー
チキソトロピーとは逆に、力を加えると粘度が上がる性質を「ダイラタンシー」と言います。
例えばこんな現象聞いた事ありませんか?
・片栗粉と水を混ぜて手で握ると一時的にかたくなる現象
・海岸の砂の上を歩くと、踏んだ部分だけ水がなくなってかたくなる現象
これらはダイラタンシーの一例です。
この性質は化粧品においてはデメリットとなることが多いのであまり使われません。
もし乳液にダイラタンシーの性質があったら、
瓶の底に残った乳液を出そうと瓶を振ると、力が加わった乳液はかたまってしまい瓶から出てきません。