社内ニートの日常

元化粧品会社研究員、現社内ニート。

【基本】化粧品の成分の見方

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こんにちは!元化粧品会社研究員のしじみです!

今回は化粧品の成分の見方を紹介します。

化粧品を見ると、容器や箱などに必ず成分がズラーッとかいてありますよね。

例)ジョンソン・エンド・ジョンソン すたすやタイムローションf:id:shijimiblog:20190526162733j:plain

これは全成分表示と言って、化粧品に含まれる全ての成分を表示するルールが薬機法(旧薬事法)で決められています。
医薬部外品についてはこのルールが適用されないので今回は化粧品のみについての紹介になります。

この成分の書き方にはルールがあります。

① 配合量の多い順に記載する。
② 配合量1%以下は不順同で記載して良い。
③ 着色剤以外の成分を先に記載し、その後に着色剤を記載する。
④ 着色剤は不順同で記載して良い。


この全成分表示のルールで注目したいのは、配合量は1%以下の成分は好きな順番で記載できるということです。



全成分表示を見てもどこから1%以下の成分なのかはわからないので、先に書いてある方が配合量が多く感じますよね。


つまり1%以下の成分に関しては、配合量を多く見せたい成分(イメージがいい成分)を先に記載し、配合量を少なく見せたい成分(イメージが悪い成分)は後に記載することができる のです。


実際そういう商品も多いです。
研究員をやっているとだいたいどこから1%以下なのかわかってきますけどね。

それが悪いことか良いことかは別として、化粧品というのは効果だけでなくイメージがとても大事なので、そういった細かいカラクリを利用しているのです。



ちなみに、イメージの悪い成分と書きましたが、これが入っているから肌に悪い!というわけではありません。


化粧品に使っても良い成分の配合量にはたくさんの規制があって、化粧品会社はこれを守り、さらに厳しい社内ルールを設けていたりします。

まともな化粧品会社なら肌に悪い成分を過剰に使うことはありません。

もしそれでトラブルなんて起きたら回収騒動に発展し企業イメージガタ落ちで大損害ですからね。
メリットありません。



しかし、防腐剤や界面活性剤など化粧品作りに必要である一方でどうしてもイメージが悪くなりがちな成分があるということです。

(なぜイメージが悪いのかについては今後紹介していきます。)


余談ですが、ちふれの化粧品は全成分に加え、配合量まで書いてありますよね。

配合量というのは多くの化粧品会社にとって大事な機密情報であり知的財産なので公開したくないはずです。

それでも消費者に安心して使ってもらいたいという優しさ、他社と差をつけたいという戦略には驚きですよね。




このように、化粧品の成分には表示のルールが決められているので、全成分表示を見れば何が配合されているのか分ります。

ルールを知った上で、自分が持っている化粧品の全成分表示を見てみるとなかなか面白いです。

高い化粧品も安い化粧品も同じような成分を使っていたり、この会社は複数の商品でこの成分をよく使っているな、とか。



最後に、化粧品技術者向けのサイトCosmetic-Info.jpは原料について調べられるので、興味のある人は見てみると勉強になるかもしれません!

www.cosmetic-info.jp





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化粧品をイマイチ信用してない人へ。化粧品の定義

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こんにちは!元化粧品会社研究員のしじみです!

化粧品ってたくさんありすぎて、一体どれを選べばいいかわからないですよね。

「雑誌や口コミサイトなど情報が多すぎて調べるのもめんどくさい・・・」

「うさんくさい広告もあるし結局何を信用していいんだ」

「もういいや適当に有名なものを買って使っておこう。」

なんてめんどくさがりの女性、結構いるのではないでしょうか。私もそんな女性のひとりです。

そんな人たちに是非読んで欲しい!化粧品の基本的な知識を紹介していきます。

この新作がいい!とかそんなキラキラした情報ではなく、自分で化粧品を理解し選択するお手伝いができれば、と思います。


私は以前化粧品会社で研究員として働いていました。

化粧品会社の中にも販売員、営業など色々な仕事がありますが、その中でも研究員しか知り得ない情報もあります。

さすがにここでそれを全部発信してしまうのは問題だと思うので、コンプライアンス的に問題ない範囲でお伝えします。

実は本屋さんとかにも化粧品の成分とか作り方の本って売ってるんですけど、仕事で関わらないとなかなか読まないですよね。

たまに、かなり偏った内容の○○は悪だ!化粧品会社の陰謀だ!みたいな本はありますけどね^^。

そういう考えも個人の自由ではありますが、ここでは技術的な内容を中心にできるだけニュートラルに説明していきたいと思います。



化粧品と医薬部外品

まず化粧品とはなんでしょうか。

これにはちゃんと定義があるんです。

化粧品の定義

人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。
医薬品医療機器等法第2条第3項)

ちなみに、薬用化粧品は、医薬品医療機器等法上は化粧品ではなく医薬部外品といいます。これは、厚生労働省に申請し、承認されなければ医薬部外品として販売することはできません。

効果の強さとしては化粧品<医薬部外品<医薬品となります。

化粧品会社としては、医薬部外品として販売するとなると手間とコストがかかります。

しかし例のように医薬部外品は化粧品よりもその効果を具体的に謳うことができるので、消費者の信用を獲得することができるのです。

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化粧品・医薬部外品の役割

大前提として、効果ということに限って言えば医薬品には勝てません。


例えば、ひどいニキビで皮膚が痛くて生活に支障が出ているのであれば、化粧品ではなく医者や薬に頼った方がいいです。

化粧品や医薬部外品はあくまで美容目的で使われることが多いので、少し嗜好品的な要素が強くなります。

だから、コストをかけてでも人気女優をCMで使ったり、華やかでかわいい容器やパッケージにするのです。


ちょっと待って、それ化粧品会社の詐欺みたいなものじゃん!効果も弱いのにコストばっかりかけて高く売るなんて!と思うかもしれません。

でもそれは違います。


化粧品というのは、清潔で美しく保つことで人生を豊かにする、ワクワク感を与えるという役割もあるのです。


洋服だってそうです。

サイズや通気性、保温などの機能性だけでなく、

  これかわいい!
  モデルの○○が着てたやつ!
  あこがれのブランド!

といったワクワク感から買ったりしますよね。

化粧品だって同じで、効果も含めて人生を豊かにするためのものなんです。


もうひとつ、化粧品のいいところとしては基本的には副作用がないことですね。

風邪薬を飲んだら眠くなる、など医薬品には副作用が出てしまいますからね。
用法用量を守って正しく使用しないと身体に危険が及ぶ可能性もあります。

しかし化粧品には副作用がない分、気軽に使えます。毎日使う化粧品に副作用があっては困りますよね。

このように、化粧品は生活必需品でありながら嗜好品でもあるという絶妙な位置に存在する消費財なのです。

それが故に世の中には化粧品にまつわる様々な噂や都市伝説があります。


情報が多すぎてわからないけど本当のところどうなの!と思うことについて、化粧品会社の苦労や努力とともに今後紹介していきますね。